Deprecated: mysql_connect(): The mysql extension is deprecated and will be removed in the future: use mysqli or PDO instead in /home/websanbou/joujusugi.com/public_html/novel/unique_file/db_init.php on line 2
オリジナル小説サイト | 杉成就 オリジナル小説
サイトタイトル画像ゾンビ
サイトタイトル画像猫
目次
目次

  • プロローグ(前)
    車中、大引伸人
  • プロローグ(後)
    大崎観光ホテル、大引
  • section01.
    雨田康彦、事件現場
  • section02.
    アビィロード。大引、ビッグC
  • section03.
    アマンテにて。大引、曹。
  • section04(前).
    飛洲南警察署
  • section04(後)
    都警本部。雨田、城野
  • section05.
    大阪都警本部前 黒木場 謎の女
  • section05(後)
    黒木場、半藤
  • section06(前)
    大阪城敷地内 大引
  • section06(後)
    尾行。大引、スミス
  • section07(前)
    宗大組にて 黒木場、徳永
  • section07(後)
    黒木場 自宅
  • section08
    尾行再開 大引
  • section09(前)
    黒木場 日本橋~伊丹
  • section09(中)
    黒木場 伊丹~飛洲
  • section09(後)
    黒木場 ランセマーケット
  • section10
    大引 尾行中
  • section11(前)
    黒木場 銃撃戦
  • section11(後)
    黒木場、銃撃戦後
  • section12
    大引、スミス
  • section13(前)
    雨田、自宅
  • section13(後)
    雨田、恵美須町
  • section14(前)
    雨田、飛洲へ
  • section14(中)
    雨田、サンクチュアリ
  • section14(後)
    雨田、サンクチュアリ
    (オーナー室)
  • section15
    雨田、捜査
  • section16
    黒木場、ソムニウム
  • section17(前)
    黒木場、伊丹刑務所
  • section17(後)
    黒木場、オムニバース
  • section31
    黒木場、オムニバース
  • section32
    黒木場、オムニバース脱出
  • section19(前)
    雨田、ソムニウム
  • section19(後)
    雨田、飛洲
  • section20(前)
    雨田、謎の施設
  • section20(後)
    雨田、謎の施設
  • section21(前)
    大引、捜索
  • section21(後)
    大引、クリニック
  • section22(前)
    雨田、追跡~取調室
  • section22(中)
    雨田、単独捜査中
  • seciton22(後)
    雨田、襲撃さる
  • section23(前)
    大引、とある倉庫
  • section23(後)
    雨田、とある倉庫
  • section24
    黒木場、心斎橋
  • エピローグ
    雨田、城野
  • 以下、続く
登場人物
登場人物
飛洲DMZの本筋に関係ない登場人物も紹介しています。

雨田康彦・・・大阪都警刑事部機動捜査隊飛洲分駐所所属。元捜査一課、38歳。離婚した妻との間に娘(陽菜、19歳)あり。173cm、72kg

棚橋太郎・・・大阪都警刑事部捜査一課第二強行犯捜査。巡査長、54歳。165cm、65kg

紺野竜也・・・飛洲南警察署刑事課、巡査長。28歳。182cm、70kg

・・・大阪都警刑事部機動捜査隊飛洲分駐所所属、38歳。旧大阪市生野区生まれ。186cm、70kg

綿貫史朗・・・大阪都警組織対策部組織犯罪対策四課。雨田と近畿管区警察学校で同期、38歳。182cm、90kg

城野隆之・・・大阪都警刑事部捜査一課第二強行犯捜査、係長。警部。大卒ノンキャリ。175cm、65kg

汪維漢(ワンウェイハン)・・・マレーシア生まれ、シンガポール国籍。本国では微細工学技術者だった。情報屋、クラッカー。48歳。160cm、44kg

・・・無許可営業のクラブ『サンクチュアリ』オーナー、35歳。在日韓国人五世。

井上素可人(すべと)・・・医師。

沖永栄光・・・連続婦女暴行魔。取り調べをした雨田から暴行を受けるも、その件は示談となる。現在拘置所にいる。

安黒奈津美・・・元大阪毎読新聞記者、現在フリーランスの事件記者。息子(陵太、2歳)がいる。164cm


黒木場隆・・・元六代目吉武會幹部。福岡県北九州市生まれ、61歳。178cm63kg

西原誠・・・黒木場を慕って吉武會から足抜けし、大阪へ来る。172cm、65kg

中谷慎一・・・同上。178cm、62kg

別府大樹・・・同上。205cm、260kg(元は160kg)

半藤鷹士・・・九代目神戸川畑組。民間軍事会社スクートゥム・セキュリティ社社長。

徳永美莉・・・半藤の秘書。21歳、181cm

一木兼定・・・九代目川畑組宗大組若頭、53歳。174cm、70kg

ブレッツ(修二・ブレジンスキー)・・・懸賞金稼ぎ。ポーランド系カナダ人の父、日本人の母を持つハーフ。改体手術により、頻繁に外見を変える。


大引伸人・・・不良外国人集団、ギャングスタ所属。39歳。強盗致傷による前科一犯。173cm、52kg

ビッグC・・・ギャングスタ元締め。スコットランド生まれ日本育ち。両親共にスコットランド人。206cm、250kg(元は120kg)

陳黎明(チン・リーミン)・・・台湾系移民の子。日本生まれ日本育ち。18歳。163cm、44kg

陳文琴(チン・ウェンチュ)・・・リーミンの母。

朴泰治(パク・やすはる)・・・在日韓国人五世、前科二犯(傷害、恐喝)。176cm、64kg

スミス・・・フィリピン系移民。174cm、60kg

モーリス・・・ナイジェリア系移民。179cm、70kg

/ 45

     プロローグ 

 

 前を塞いだ水色の車。
 後部の形状からわかる。ホンダフィット。あの速度だと自動運転だろう。こっちが接触しそうになっても向こうが避けてくれるはず。大引伸人(おおびきのぶと)は道幅ぎりぎりでフィットを追い抜いた。予想通り、ぶつかることはなかった。
 そして一瞬の後、そのことを忘れる。
 飛洲中華街のほど近く、大通りから一本入ったところ。そこは移民居留区の北端に位置している。貧しい男女が身を寄せ合うように暮らしているが、最下層の人間が住んでいるわけではない。まだ屋根と壁があるだけマシだ。
 大引はステアリングを左に切り、エクスプローラーエディバウワーの大きな車体をこすりそうになりながら路地に入った。
 朴泰治(ぱくやすはる)がいた。フロントガラスに映し出された。二階建てアパートの外付けの階段を下りている。緩慢な動きだった。手前にある潰れそうな小屋の陰に、その姿が隠れる。そして再び現れた。
 減速しながら助手席のドアを開けた。冷たい風が一気に侵入してくる。
「急げ」
 大引は言った。
 朴が座席に収まるのを待たず、アクセルを踏み込む。束の間、空転したタイヤが地面を捉え、エクスプローラーが急発進した。
「ほんで?」
 朴がドアを閉めながら不機嫌そうに言った。寝起きのせいか顔が腫れぼったい。
「なんだ?」
「今日は何を?」
「ビッグCから何も聞いてないのか」
「さっき電話で言うたやろ。起きたばっかりや」
「こいつを拉致」
 大引はホログラム写真を胸ポケットから出した。朴に手渡す。
「マジで言うてんのか」
 朴が呆れ声で言った。
「冗談なわけねぇだろ」
「あかん。俺は降りるで」
「この車を、か。それとも……」
「両方や。このオッサンは宗大組の組長、宗像大介やないか」
「言われなくても知ってる」
「今まで友好関係を保ってきたのに。なんでや」
「友好? 金を納めて見逃してもらってたってのが正解だな。飛洲(とびしま)で商売するのを」
「どっちゃでもええわ。なんで宗像なんや」
「一週間前、王翔とかいう奴が路上でボコられて死んだだろ?」
「あれを、宗大組がやった言うんか」
「ビッグCはそう思ってるらしい」
「くそったれ。俺は宗大組と揉めたないんや」
「なぜだ?」
「あそこの若頭と、昔ちょっとな」
「一木、だったか? びびってるってことか」
「悪いんか」
 朴がふて腐れたように言う。
「そもそも数がちゃうねんぞ」
「数だけなら俺らのお仲間もなかなか多いぜ?」
「移民は荒っぽいだけで使える奴が少ない。しかもガキばっかりやないか。ギャングスタなんて恥ずかしい名前つけくさって」
「それをビッグCの前で言ったらどうだ?」
「言えるか、どあほ」
「俺らは遊撃隊だからな。言われたままに動くしかない」
「鼻つまみ者やとはっきり言うたらどないや」
 朴が盛大に溜息をついた。
 大引はステアリングを右に切って、車線を変更した。周りは自動運転の車ばかりだから、少々荒い運転をしても接触することはない。
 朴の悪態がひとしきり続いた。それが、これからの仕事に対する不満に変わったとき、大引は口を挟んだ。
「心配すんな。拉致うだけだ」
「そこがわからへん。報復したいなら殺すんが普通やろ」
「そう命令してもらいたかったのか」
「んなわけあるか。ヤクザのしつこさは異常や。地獄の果てまで追いかけてきよるわ」
「自分が地獄に行くってことはわかってんだな」
「俺は昔っから神さん仏さんとの折り合い悪いねん」
 そう言って、朴が後部座席を振り返った。
「おい。モーリス、スミス。いてんのか」
「え?」
 モーリスの野太い声が聞こえた。既にアクティブ迷彩コートで偽装しているので、その姿は見えにくい。
「しょうもない音楽聞いてる場合とちゃうぞ」
「なんか言ったか」
「おまえはいつもクールやな、ブラザー。そう言うたんや」
 朴が首を戻して前を向いた。
「ビッキー。スミスは?」
「現場に先乗りしてる。偵察だ」
「相変わらず仕事熱心やな、あいつは。前科者の鑑やで」