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【書介】忙しい人でも短時間で読めて、ちょっとした叡智が身につく本

洋書の画像
By: Brenda Clarke

こんばんは。

お仕事の方はお疲れ様です。

 

僕は休みの日なのに、部屋に閉じこもって仕事のようなことをしていました。

はい、ネクラです。

 

さっき気づいたんですが、僕は最近、ビジネス書以外の本をほとんど読めていません。

昔は最低でも月に20冊は読んでたのになあ。(遠い目)

 

これをご覧のあなたも、もしかしたら僕と似たような状況かもしれません。

でも、たまには息抜きしてビジネス書以外の本を読みたくないですか?

 

そんなあなたにオススメの本を紹介したいと思います。

いや、【書介】したいと思います。

 

【書介】ってなんだよ?

そうツッコミながらも続きを読んでくださる心優しいあなた。

 

「書評ってえらそうじゃね?」

 

と思いません?

 

「なんだ、藪からスティックに(ルー大柴風)」って感じですが、記事のタイトルを書こうとしたときに、ふとそう思ったんですよ。

 

ちなみに、書評というのはWikipediaによると、 

一般的に、刊行された書物を読者に紹介する目的で論評や感想などを記す文芸評論の一形式である。

らしいです。 

 

「感想ならいいじゃん」ってなりそうですけど、『論評』とか『評論』という言葉にネガティブなイメージがつきすぎて(僕だけ?)、あまり使いたくないんですよね。

なんだか偉そうな響きすらあるでしょう?

 

というのも、自称とはいえ僕は作家ですので、作品を作り上げるまでの苦労を知っているわけです。

そんな四流作家の僕が、オモロイ作品を発表している作者に敬意を払うのであれば『書評』などという大層なことは到底できない。

 

しかも、取り上げるであろう書籍は僕が『オモロイ』と思った書籍だけです。

ということは一級品ばかり紹介することになるだろうから、なおのこと『書評』などという『乱暴な』言葉は使いたくない。

 

いや、使えない。

 

といっても、他の方が『書評』という言葉を使うのを批判しているわけではないですよ、念のため。

 

話は脱線しますが、関西弁の『オモロイ』という言葉は使い勝手が至極良いですね。

単純に面白いという意味でも使えるし、興味深いとか心惹かれるという意味にもとれる、とても懐の深い言葉です。

 

(確か筒井康隆先生のご著書で、そんな文章を拝見した気がする。つまり受け売りです、笑)

 

 

【書介】って良くない? あれ?そう思ってるの僕だけ?

で、話は戻って、「やっぱ『書評』はあかんよなあ」となり、論評のニュアンスを取り除きたいゆえに『紹介』としようとも思ったんですが、それじゃ面白くない。

 

いや、『オモンナイ』。

 

そこでふと思いついたのが、【書介】という言葉。

 

完全なる造語ですが、『介』には確か『たすける、すける』なんて意味があったはず。

 一流作家の書籍を助けるというニュアンスが含まれるし、四流作家にとってはこの倒錯感がたまりません。(変態)

 

「お、これはいいですねえ」ってことで、「即採用!」と相成るかというと、やはりそこは小心者の自称作家。

漢字の正確な意味を確かめないことには、次なる一行を書けません。

 

で、目の前にあるA〇erの傾いたディスプレイでインターネット検索。

 

すると、『介』という文字には「あいだに入ってなかだちをする。また、なかだちをする人」なんて意味があるようなので、漢字の意味としても間違いではない、ようです。

 

作品と読者を仲立ちしたいわけだし。

 

よし、【書介】で決定。

 

 

早く【書介】しろよという心の声が聞こえる

 

ということで、前置きが長くなって申し訳ないですが、初回の『書介』はコチラ。 

阿川弘之先生の『大人の見識』。

 

その選出の意図はと問われると、単に手の届く範囲にあったからと答えるしかない。(笑)

いえ、決して軽んじているわけではないんですよ。

デスクから手の届く範囲にあるということは、折に触れて読み返したい本ってことです。(もしくは実務で使うもの)

 

まずは著者紹介。

阿川先生は1920(大正九)年生まれで御年94歳(!)。 

 

広島生まれで東京帝国大学国文科(今の東大)を戦争で繰り上げ卒業された後、大日本帝国海軍に入隊し、終戦時は中尉(ポツダム宣言受諾後、大尉に進級)。

復員後、志賀直哉に師事して小説を書く。

主な著作は『春の城』(読売文学賞)、『山本五十六』(新潮社文学賞)など。多数の文学賞を受賞。

 

ご存知ない方には、『ビートたけしのTVタックル』で司会進行をしていらっしゃる阿川佐和子さん(タレント、エッセイスト)のお父上と説明した方がわかりやすいかもしれません。

2012年に出版した『聞く力』は150万部を超えるベストセラーになりましたよね。

 

『大人の見識』は新潮新書で発行されたものです。

 

奥付を見ると2007年11月20日発行となっているので七年以上前に発行されたんですね。

僕が買った時点で8刷(2008年1月20日)のようなので、結構な勢いで売れたようです。

 

実際、『オモロイ』んです。

 

内容はというと、

自分の若いころの具体的見聞や読書体験に即して、時代風潮の移り変わり、近代日本の不易と流行について考え考え話しますから、読者がこれを老文士の個人的懐古談として読んで、自分たちの叡智を育てる参考にして下されば幸いです。

(序文より抜粋)

これだけ読むと何やら難しいことなのかと思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

 

極端から極端に振れがちな『軽躁なる日本人』に、「まあまあ、ちょっと待ちなさいよ。例えばこういう話があるよ」と古今東西の事例を紐解き、それをご自身の体験と織り交ぜながら話をしてくださるので、実に読みやすいです。

 

中でも印象的なエピソードを一つだけ紹介します。

 

これは序文に出てくるんですが、幕末の外国奉行だった川路左衛門尉聖謨(かわじさえもんのじょうとしあきら)が下僚にこう言ったそうです。 

 

「これは急ぎの御用だからゆっくりやってくれ」

 

この方は柔軟な思考と清廉な暮らしぶりで知られた開明派の幕臣だったそうです。

いや~、ヒネリの効いた素晴らしい言葉ですね。

 

焦ってやっても、良いことは一つもないんだよ。

急ぎだけど、大事な御用だからミスのないようにね。

 

僕はそう頭の中で補完しました。(あれ、違うかな?笑)

 

この他にも、海軍にいたときのユーモア溢れる話や、武士道とジェントルマンシップ、英国人のユーモア、論語などをテーマに、阿川先生が選ぶ見識のある人々のエピソードがいくつも語られていきます。

 

約190ページの本なんですが、あっという間に読めて、もっと話を聞いていたいという気にさせられる一冊でした。

 

よろしければ、ちょっとした空き時間にでもいかがでしょうか?

 

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