【もう乗るなwww】バイクで事故った話 それも3回【3発目】~in 国道壱號線~
僕はバックミラーに目をやった。
「おい、煽んなや」
黒い風防(ヘルメットのシールド)の中で、言った。
車のヘッドライトが真後ろに近づいていた。
一瞬にして、頭に血が上る。
再び、バックミラーを見て、視線を元に戻した。
と、前の車が停まっていた……。
SRX400、降雨
当時、僕は大阪市から箕面市までバイクで通勤していた。
愛車はSRX400、空冷単気筒。
いまだに根強い人気を誇るYAMAHAの傑作シリーズであるSRのスポーツタイプだ。
もう何年も前に生産が終了していて、街で見かけることが少なくなっていた。
貧乏だった僕はそれをタダ同然の価格で譲り受け、カスタムして乗っていた。
単気筒ならではのトルクの強さと、エンジン音、そして何より乗り心地。
あの振動がたまらなかった。乗っていて楽しいバイクだった。
(タイミングよく、さかのうえのまろさんがSRXについて記事を書いていた)
僕は一日の勤務を終え、帰宅の途につこうとしていた。
午後9時過ぎ。
昼過ぎから断続的に降っていた雨は止む気配を見せていない。
雨脚が衰えるどころか、強さを増しているように感じられた。
僕は黒いカッパを着こみ、ブーツカバーを着用して愛車の元に向かった。
キーを差し込み、エンジンを暖機する。
もうじき梅雨入りという季節、雨が降っているとはいえ気温は低くない。
すぐにエンジンは暖まった。
僕は車の流れが切れたところで、駐車場を飛び出した。
少し走って、新御堂筋に乗る。
いつもより幾分、速度を落とし、新御堂筋を南下した。
煽られる僕
鼻歌交じりに、というかほとんど歌いながら新御堂筋を走破した。
帰りにスーパー玉出でビールを買って帰ろう。
そんなことを考えながら、下道に降りる。
(新御堂筋は自動車専用道路ではないが、本線上は原付や軽車両、歩行者の通行を規制している)
そのまま直進して、大きな交差点を左折した。
国道1号線。
雨のせいか、いつもより混んでいるように思えた。
少し行ったところで右折する僕は、車線変更して一番右の車線に入った。
と、そのときだった。
後ろの車が必要以上に車間距離をつめてきた。
目視もしたし、ウィンカーも出したが、車から見たら強引な入り方だったのかもしれない。
だからといって、煽られる謂われはない。
短気(自分が思っている以上にそうらしい)な僕はカチンときた。
しかし、何ができるわけでもない。
車間距離をとるしかなかった。
バックミラーを見て、ぶつからないようにする。
が、再び勢い良くギリギリまで迫って来る後続車。
僕はバックミラーに目をやった。
「おい、煽んなや」
黒い風防(ヘルメットのシールド)の中で、言った。
なおも車の流れに合わせて少し進む。
が、またしても急加速するエンジン音と共に、車のヘッドライトが真後ろに近づいてきた。
一瞬にして、頭に血が上る。
再度、バックミラーを見て、視線を元に戻した。
と、前の車が停まっていた……。
追突、またしても!!
「ヤバい!!」
脳内に灯る警告信号。
右手で前輪ブレーキ。
雨でブレーキの効きが悪い。
停まれない…、かもしれない。
幸い徐行とまではいかないが、速度はさほど出ていない。
ここは自分が倒れてでも、追突は防ぐべきだ。
だが、左側には車線がある。
右側は中央分離帯だ。
倒れるならそっち……
ドムッ!!
「あ……」
ガシャン!!
「なんじゃ、おらぁ。端に寄せろ、コラァ!!」
勢い良く運転席から飛び出してきた若い兄ちゃん。
「すみません」
立ち上がり、バイクを起こそうとする僕。
兄ちゃんが左車線に出て両手を上げ、交通整理を始めた。
僕はバイクを起こし、小走りで一番左の車線にバイクを寄せて停める。
兄ちゃんはそれを見届け、自分の車を僕のバイクの前につけた。
「とりあえず警察呼ぶわ」
携帯電話を手に車を降りてきた兄ちゃんが言った。
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事故現場、すぐ来る警察官
電話を終えた兄ちゃんが近づいてきて言った。
「すぐ来るらしいわ」
「すみません。わかりました」
「雨に濡れるし、そこ入ろうや」
兄ちゃんがバス停を指差した。
(事故現場。左に見えるバス停で、僕と兄ちゃんは警察官の到着を待った。)
「なんで当たったんや? 雨のせいで停まれへんかったんか?」
椅子に腰かけた兄ちゃんが言った。
「そうです、すみません。それと、後ろから煽られたから気になって前方不注意で…」
「そうか。無駄に煽ってきよる奴いてるからな」
僕はその言葉に頷いて、横目に兄ちゃんを見た。
身長は170センチくらい。年齢は30前後くらいだろうか。
服装はダボッとした黒いズボンに、上は濃紺か黒のニットセーター。
全体の雰囲気から、『昔ちょっと悪さしてました』というような印象を受けた。
「立ってんと、座りぃや」
「はい、すみません」
僕はそう言って、バス停のベンチに腰掛けた。
気まずい空気が流れた。
雨はまだ降り止む気配を見せなかった。
と、そこに自転車に乗った制服の警察官が現れた。
「はやっ」
兄ちゃんが言った。
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現場検証、だが…
(写真は本文の内容と関係ありません)
現場検証が始まった。
兄ちゃんが事故の状況を説明する。
と言っても、「そこで後ろからぶつかられた」という程度の簡単なものだ。
僕もそれに同意した。
「じゃ、接触箇所を見せてもらいましょか」
警察官が言って、懐中電灯を手に取った。
兄ちゃんの車に三人で近づく。
「後ろのどのあたりですか」
警察官が言った。
「この辺かな?」
兄ちゃんが指差したところを警察官が照らす。
四つの輪が横に並ぶエンブレムと、ナンバープレートの辺り。
「……ん?」
もしかしたら三人同時に言ったかもしれない。
目立った傷はどこにもなかった。
警察官が懐中電灯を左右に揺らして、左右のブレーキランプのところまで隈なく探す。
が、やはり傷らしきものはない。
「あ、これかな?」
警察官が言った。
懐中電灯の光を近づけると、バイクのタイヤの跡が微かに白く残っていた。
それは、傷というより汚れだった。
顛末
つまるところ、僕のブレーキがなんとか間に合った(間に合ってないけど)おかげで、
車が破損するほどの速度が出ていなかったということらしい。
(よく見たら細かい傷はあるかもしれない)
当たったとき、『ドムッ』という鈍い音がしたのも、それで意味がわかった。
接触後、僕はバイクごと転倒したから、ひどい事故のような気がしただけだった。
でも、追突したことには違いない。
それについては、とても反省している。
(そのとき被っていたヘルメット。これも押し入れから引きずり出したw)
僕ら3人は交番に行った。
警察官がすぐ現場に到着した意味がわかった。
今、地図を見ると、事故現場から約250mしか離れていない。
交番の場所 ⇒ http://publicmap.jp/spot/20627971
簡単に事情聴取を受けて、すぐ解放された。
兄ちゃんが去り際に言った。
「保険屋にも連絡せぇへんし、あんたの名前も聞かへん。後からそういうのをネタにユスリかけよる奴もいてるらしいけどな」
「あ、はい。すみませんでした」
僕は頭を下げた。
「ほな」
兄ちゃんは車に乗り込み、颯爽と去って行った。
僕は兄ちゃんの車が見えなくなるまで頭を下げていた。
雨はまだ降り続いていた。
最後に
1発目、2発目の事故は僕にも多少の言い分があったが、3発目に関しては100%僕の過失だ。
これに関しては何の言い訳もできない。
この場を借りてお詫びする。
すみませんでした。
車もそうだが、やはり運転中に感情的になるのは良くない。
短気な人は要注意ですよ。(自分は棚に上げて)
この後、会社を辞めた僕は別のバイクに乗り換えるが、間もなく多忙となり、ほとんど乗らないままそのバイクを手放す。
そして、それ以降、バイクには乗っていない。
というか、これだけ事故ってたら乗らない方がいいんだけど。
以前の記事は下記リンクから。
二回ともしっかりとした(?)事故だから、時間があるときにどうぞご覧ください。
【もう乗るなww】バイクで事故った話。それも3回。【1発目】
http://joujusugi.com/35defa/?p=632
【もう乗るなwww】バイクで事故った話 それも3回【2発目】~in 国道二號線~
http://joujusugi.com/35defa/?p=703
では、またお会いしましょう。
See you~。
COMMENTS & TRACKBACKS
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三件とも見ましたが、余所見多過ぎですょ(ヾ(´・ω・`)
確認に時間掛けすぎです
バイクバカです(*´∀`)♪さん
コメントありがとうございます♪
ですよね~(笑)
バイクの運転向いてないのかもしれません(笑)
ストーリー展開につい引き込まれて読みました。
私も同じ色のSRXに乗っているのでそれも余計に親近感が湧いたせいもありますね。
煽り行為許せないですね。
でも対応した人がいい人で良かったです。
事故お見舞い申し上げます。
そして良い文章をありがとうございます。
山本さん、お見舞いコメントありがとうございます。< (_ _)>
はい、素敵な対応してくださった方に感謝しかないです。
SRXは良いバイクですよね。
煽り行為にお気をつけて、素敵なバイクライフを!
ありがとうございます(^^)