待機児童問題を割と真面目に考えてみる #taikijidou0challenge
なかなかヘビィな内容のバトンが回ってまいりました。
待機児童問題に関する私見を述べよ、という企画です。(多分)
僕は結婚していますが、子どもはいません。
ですから、全くの門外漢です。
しかし、そういう人にも問題意識を共有かつ対策なりなんなりを出してほしいということです。
元ライターの僕としては、社会問題にも興味が大アリでして、バトンが回ってきたら二つ返事で引き受けようと思っていました。
で、そうこうしているうちに、親愛なるうーとさんからバトンを引き継ぎましたので、記事にしてみました。
うーとさん、ありがとうございました。
(あと、遅くなってすみません、汗)
うーとさんの待機児童問題の記事はコチラです。
目次
待機児童問題とは何か?
ものすごく簡単に言うと、共働き世帯の増加に伴い、保育所を利用したい人が増えたにもかかわらず、子どもを預ける保育所が不足しているという問題です。
まあ、ここまでは字面からも想像がつくでしょうが、実態は割と深刻です。
なんと厚生労働省が発表している2014年4月1日時点の待機児童数は、全国で2万1371人です。
参考
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000057750.html
※2001年に『認可外保育施設を利用しながら待機している児童は、待機児童の数から除く』と国が基準を変えたこともあって、そのとき3万5144人から2万1201人に減ったそうです。
参考:待機児童問題(朝日新聞)
http://www.asahi.com/special/taikijido/
少子化時代になぜ、そんな問題が生じるか?
原因は大きく分けて4つ挙げられるのではないでしょうか
① 待機児童の約85%が0~2歳
② 東京、埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪、兵庫の7都府県と、その他の政令指定都市・中核市で全待機児童の約8割を占めている
③ ②の結果、保育所が足りていない
④ ②の結果、保育士さんが足りていない
①待機児童の約85%が0~2歳
まず①です。
これについては、やはりよく言われているように、夫婦共働きの世帯が増えたからでしょう。
共働き世帯が増えた理由としては、女性の社会進出が進んだということもあります。
(その割には育休などの制度が整備されていない)
また、核家族化が進んだということもあるでしょう。
しかし、より大きな理由としては、『日本経済が停滞している』からだと僕は思います。(※)
経済が停滞しているせいで、給与は伸びず、むしろ下がる一方。(ここ2年は微増)
参考:サラリーマンの平均年収の推移
http://nensyu-labo.com/heikin_suii.htm
結果として、夫婦どちらか一人の給料で家計をまかなうことができないので、共働きする必要があるということですね。
※夫婦が共に働きたいからというケースもあるでしょう。ですから、僕の勝手な印象とお考えください。
都市圏に8割の待機児童
次に、②です。
東京、埼玉、千葉、神奈川、京都、大阪、兵庫の7都府県と、その他の政令指定都市・中核市で全待機児童の約8割を占めているということです。
しかし、これに僕は若干の違和感を覚えました。
それだけ多くの都市を挙げれば、待機児童も多いでしょうが、人口も多いのではないか、と。
だって、政令指定都市は全国20都市、中核都市は全国45都市で合計65都市もあるんですよ。
ここから7都府県にある政令指定都市、中核都市を除いても、かなりの人数が住んでいるでしょう。
ですから、どれくらい住んでいるのか、ちょっと調べてみました。
まず7都府県。
東京都(1,350万人:2016年1月)、埼玉県(725万人:2015年12月)、千葉県(621万人:2015年12月)、神奈川県(911万人:2015年9月)、京都府(260万人:2015年9月)、大阪府(884万人:2015年9月)、兵庫県(552万人:2016年1月)
7都道府県で、約5,303万人
次に、政令指定都市から7都道府県にある政令指定都市を除いたもの
札幌市(194万人:2015年9月)、仙台市(108万人:2016年2月)、新潟市(80万人:2016年1月)、静岡市(70万人:2016年1月)、浜松市(78万人:2015年9月)、名古屋市(228万人:2016年1月)、岡山市(71万人:2016年1月)、広島市(117万人:2016年1月)、北九州市(97万人:2015年9月)、福岡市(153万人:2015年9月)、熊本市(74万人:2016年1月)
11市で、約1,270万人
更に、中核市から7都道府県にある中核市を除いたもの
旭川市(34万人:2016年2月)、函館市(26万人:2015年12月)、青森市(29万人:2015年4月)、盛岡市(29万人:2015年12月)、秋田市(31万人:2016年1月)、郡山市(33万人:2016年1月)、いわき市(32万人:2015年4月)、宇都宮市(51万人:2016年1月)、前橋市(33万人:2016年1月)、高崎市(37万人:2016年1月)、富山市(41万人:2016年1月)、金沢市(46万人:2015年9月)、長野市(38万人:2016年2月)、岐阜市(40万人:2016年2月)、豊橋市(37万人:2016年2月)、岡崎市(37万人:2016年1月)、豊田市(42万人:2016年1月)、大津市(34万人:2016年2月)、奈良市(36万人:2016年1月)、和歌山市(36万人:2015年9月)、倉敷市(47万人:2016年1月)、福山市(47万人:2014年3月)、下関市(27万人:2015年12月)、高松市(42万人:2016年2月)、松山市(51万人:2016年2月)、高知市(33万人:2016年2月)、久留米市(30万人:2016年2月)、長崎市(43万人:2015年11月)、大分市(47万人:2016年1月)、宮崎市(40万人:2016年1月)、鹿児島市(60万人:2016年1月)、那覇市(32万人:2015年12月)
32市で、約1221万人
※各都道府県と市の公式HP参照。
※すべて平成22年10月1日現在の国勢調査人口及び世帯数を基準とした推計値
※1万人未満切り捨て
蛇足
※最も調べにくかったのは福山市です。目的のページまでの導線がわかりにくい上にデータが古いし、PDFを見ないといけないので。
※次に調べにくかったのはエクセルファイルをダウンロードさせた上、その表が見にくかった福岡市です。
※その次に調べにくかったのは熊本市です。HPの導線がちゃんと引けていない。
※長野市と松山市は公式HPのSSL証明書をSHA-1からSHA256に移行してください。(こんなとこに書いても無駄だけど)
結果、7都府県と43市で約7794万人。
現在の日本の人口が、1億2682万人(推計:2016年1月)ですから、約61%の人口が集まっているところに、全国の待機児童の約8割がいるそうです。
つまり、都市部に待機児童が多いというのはどうやら本当らしいです。
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なぜ、都会に人口が集中するか
都市部に人口が集中しているというのはどういうことか調べてみました。
東京一極集中化が進んでいると、メディアで紹介されることがありますが、これは最近に限って言えば誤りのようです。
正確に言うと、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)と大阪、愛知、福岡の各都府県への、周辺各県からの流入が起こっているようです。
データはリンク先でご覧ください。
参考
https://www.keieiken.co.jp/pub/yamamoto/column/column_160201.html
しかし、これも考えてみればおかしな話です。
僕たちが15年くらい前に聞いていた話では、『社会のIT化が進めば、地方でも仕事ができるようになる』ということでした。
しかし、どうやらそうはならず、むしろIT化がより大都市圏への人口流入を促進させたようです。
上に挙げた参考ページにも書いていましたが、情報通信業は、東京圏(東京、神奈川、埼玉、千葉)と大阪、愛知、福岡で80%以上を占めているそうです。
近年、医療・福祉分野に次いで就業者を増やしてきた情報通信業を営む企業が大都市圏に集中するのなら、人がそこに集まるのは必然ですね。
(実際、ウチの会社は社員の約80%が元々、大阪府の人間ではありません。まあ、人数が少ないので参考にならないかもしれませんが一例として)
③保育所が足りていない
待機児童問題の原因③は、『保育所が足りていない』、です。
大都市圏で保育所が足りなくなる理由は、前項の人口集中に加え、土地の問題があります。
人口が集中していると土地が高い。
当然ですね。
ですから、需要があっても企業はなかなか参入しにくいということになります。
では、国が保育所をつくるなり補助金を出すなりするかというと、そう簡単に話は進まないんです。
世代間対立を煽りたくないのですが、政府は高齢者に手厚い政策を推し進めます。
なぜなら、高齢者は若者よりも人数が多く、投票率が高いからです。
世知辛い世の中ですね。
しかも、『子どもたちの声がうるさいから保育所建設はダメだ』と苦情を寄せる市民もいるそうです。
こういうわけで、新規に保育所を造るのは難しいという現状があるようです。
※認可保育所、認可外保育所の件も書きたかったのですが、紙幅の関係上、断念しました。
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④保育士さんが足りていない
待機児童問題の原因④は、『保育士さんが足りていない』です。
2015年における保育士の有効求人倍率は2.18(全国平均)だそうです。
中でも特に、東京都は5.13と保育士不足が深刻化しているようです。
ここでも、東京都で待機児童が多い原因がわかりますね。
潜在保育士が復帰しない理由、第1位は?
ズバリ、『お給料が安いから』だそうです。
2016年、保育士資格を持っているが、現在は働いていない人(500人)にアンケートを取ったところ、1位が給与の低さを挙げたそうです。
(①お給料が低い 23.4%、②職場の人間関係 22.7%。③残業時間 6.3%、④業務への不満 3.9%)
参考
http://www.hoikushibank.com/column/2016/02/1000-2016.html
なんと、月収15万円以下が全体の48%、15~20万円が全体の48%で同率。
つまり、保育士さんの96%が20万円以下の給料で働いているということになります。
そのせいで、退職後にアルバイトをしたら、保育士時代の給与を超えたという人もいるそうです。
こんなことでは保育士さんが増えないというのもわかります。
下の青丸②を押して、次ページへお進みください。
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