【長文注意】アメリカンスナイパーを観に行く道中と、作品の感想【ネタバレ注意】
今更ながら、『アメリカンスナイパー』を観に行ってきました。
映画が公開されると聞いたとき、「なんか見覚えがあるな~」と思ってたんですよね。
調べてみたら、原作本(邦題:ネイビー・シールズ最強の狙撃手 原題:AMERICAN SNIPER)を知っていることに気づきました。
それが二ケ月くらい前の話ですかね。
公開されて以来、観に行こうと思いながら機会を逃し続け、ようやく土曜日に行ってきました。
ちなみに、『原作本を知っている』と妙な表現をしたのは読んでないからなんです。
二年ちょっと前に買おうとして買わなかった本なんですね。
なぜ買わなかったか?
当時、僕はほぼ無職だったから超貧乏だったのです。
お金がないってツライですね。(泣)
それはさておき、土曜の話。
いつものごとく指定の時間に用意が間に合わない嫁と小競り合いをしながら家を出て、TOHOシネマズなんばへ。
楽しみにしていた映画だけに、意気揚々と入館。
ですが、ここでちょっとしたトラブルが。
前売り券を1,400円で買っていたのに、当日券が1,100円で購入可能という未曽有の事態発生。
WHY?
当日券の方が安いなんて話、聞いたことありません。
こんなことを許しては前売り券の存在意義が疑われます。
ここはかわいそうな前売り券たちのためにも断固抗議です。
決して、「俺、損してね?」という卑しい気持からではありません。
「おのおのがた、ここは拙者に任されよ」
と妙に時代がかった口調でつぶやく僕。(近くに誰もいないことを確認済み)
レジがある受付カウンターに誰もいなかったので、隣にある自動券売機の係員呼び出しボタンを押します。(そうしろと書いてありました)
待っている間、いらち(大阪弁で短気)な僕の貧乏ゆすりでビルが揺れます。
約1分23秒で二十歳くらいの爽やかな風貌の青年がやって来ました。
青年係員がレジの向こう側に回り込み、
「お待たせしました」
と言うや否や訊ねます。
「なぜ、1,100円なんですか」と。
いらちな僕の唐突な質問にも動じず、彼は快く説明してくれました。
当日は『TOHOシネマズデイ』という割引サービスの日とのこと。
毎月、14日はそうらしいです。
『東宝』だから『14』で、割引サービスね。
なるほど、なるほど~。
「2人合わせて600円あれば、ポップコーンと飲み物が買えるじゃないですか!!差額を返金しなさい!!」
とは全然思いませんでした。ええ、全然思いませんでした。
これは調査不足です。知らなかった僕が悪いのです。
だから、ポップコーンと飲み物は我慢です。
切歯扼腕の末、口内が血であふれ、腕は内出血を起こしましたが、ここは臥薪嘗胆です。
そういえば、知らなかったついでに言うと、当日がホワイトデーであることも知りませんでした。
罪滅ぼしに外食したので許してほしいの。(行きの道中に気づいて密かに周章狼狽したことは内緒です)
Warning!!
【以下、『アメリカンスナイパー』のネタバレを含みます。お気をつけください】
本題の『アメリカンスナイパー』について。
クリス・カイルという実在した海軍特殊部隊員(SEALs)の自伝を元に作られた映画です。
クリス・カイルという人は
イラク軍およびアルカーイダ系武装勢力の戦闘員を160人(公式戦果のみ、非公式255人)を殺害した。
その間に多数の叙勲を得て、味方からは「史上最高の狙撃手」、敵側からは「悪魔」と評され懸賞金が懸けられた。
–Wikipediaより抜粋
という凄腕のスナイパーでした。
でした、というのは彼が既に亡くなっているからです。
それが本作品の最後に描かれています。
クリス・カイルは自伝の中で物事の優先順位について、「神、祖国、家族の順」と語っていたそうです。
祖国を守るために出征し、(組織は違うものの)仲間である海兵隊員の窮地を何度も救っています。
そして除隊後、民間軍事会社を立ち上げて軍や法執行機関の隊員に軍事訓練を行う一方、講演、執筆活動で得た資金の一部を元にNPO団体を設立し、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされる帰還兵や退役兵の社会復帰を助ける慈善事業をしていたそうです。
自分自身が戦争によって心身ともに蝕まれた経験から、同じような苦しみを味わっている仲間たちを助けたいという献身の心がもたらした結果、元海兵隊員の男に射殺されるという悲劇的な皮肉。
クリスを撃った男はPTSDに悩まされ、アルコールや薬物の問題も抱えていたようです。
その男の母親に頼まれ、一緒に射撃訓練へ向かったところでクリスは射殺されました。
(2015年2月25日、クリス・カイルを射殺した男に仮釈放なしの終身刑という判決が下されました)
僕の感想ですが、この映画は観る価値があると断言できます。
理由は二つあります。
まず、一つ目。
それは、反戦的な視点が一人の人間を通じて描かれていたからです。
戦争映画には、どこかに反戦的な視点が必要だと僕は常々思っています。
とはいえ、それをメインに据えて、ひたすら悲惨なシーンばかり、反戦的なセリフばかりの映画は論外です。
一人の人間を通して、そう感じさせる作りがなければ観客は映画に入り込みづらいからです。
そういう意味で、本作品は成功だと思います。
そして、理由の二つ目は、主人公クリスや登場人物の苦悩、葛藤がしっかりと描かれていたからです。
僕たちは以下のようなストーリーに引き込まれて登場人物に感情移入し、映画を楽しみます。
それは一人の人間が困難に遭遇して苦悩し、葛藤しながらも答えを導き出し、行動に移すというものです。
行動に移した結果、困難を脱することができればハッピーエンド。
そうでなければバッドエンドです。
本作品はハッピーエンドになりかけたところで、主人公の死が唐突に訪れます。
そんなことがあっていいのか、あまりに理不尽だと思う暇もなく、です。
僕はいきなり落とし穴にはまったような感覚に陥りました。
そして観終わって、脱力感を覚えました。
これは作り話ではなく、現実に起こったことなのです。
その重い事実がのしかかってきたような気がして、しばらく動けませんでした。
本作品はクリント・イーストウッド監督最大のヒット作であるにとどまらず、アメリカで公開された戦争映画史上最高の興行収入額となったそうです。
これは現在も続く中東の混乱に対して、そして戦争の是非についてアメリカ人たちが明確な答えを出し切れていないからではないでしょうか。
そのことについての答えがあるかもしれないと、無意識に感じた彼らアメリカ人たちが観に行った結果でもあるのではないかというのは僕の考え過ぎでしょうか。
【追記】
迫力と臨場感のある戦闘シーンも見ごたえがありました。
特に砂嵐の中の戦闘シーンは単純に「スゴイ」と思いました。
【ネタバレ追記】
クリスが殺されるシーンはありません。
残されたクリスの子供たちに配慮して、イーストウッド監督が撮らなかったそうです。
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