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受験生のみんなに約束してほしいことがある。聞いてくれ。(受験失敗談①)【後編】

fear
By: Ingrid Richter

前回の続きです。

先にこちらをお読みください。

 

こうして惨劇は起こった

視界が白くなった、ように感じた。
いや、もしかしたら僕は数秒間、本気で気を失っていたかもしれない。

 

これはいかん、と気を取り直して試験官らしき男に声をかける。
眼鏡をかけた四十がらみの男だった。

 

「あの、法学部はどこですか」
「ほ、法学部? 法学部ですか?」
男の顔に浮かんだ焦りの表情。
それで、僕は全て悟った。

 

「もしかして…」
「法学部はまだ上ですよ。急がんと」
僕の言葉を遮るように、男が言った。

 

僕は礼も言わず、身を翻した。
キャンパスを駆け抜け、門を飛び出る。
余分な参考書を詰めた肩掛けのバッグが、ずしりと重く感じられた。

 

僕は急な坂道を走った。
高校時代、サッカー部で鍛えた健脚はもう衰えていた。

 

でも、「あのとき必死に鍛えたのは、このときのためだ」
そう考え、足をこれでもかとばかりに動かした。

 

『表現は間違っているが、馬車馬だ。
僕は馬車馬だ。
だから間に合う』

息切れしながらつぶやいた。

 

まったくもって意味不明だ。

だが、そう思い、本気で信じた。

そうしないと、その場に崩れ落ちそうだった。

 

走ること数分。門が見えた。
門札に目を凝らす。
法学部ではなかった。
横目でそれを確認し、通り過ぎる。

 

膝がガクガクしはじめたが、構わず更に走る。

目の前に現れた駐輪場らしき場所。
バイクを停めて鍵をかけようとしている若い男がいた。

 

「す、すみません。ほ、法学部ってどこですか」
息を切らしながら、話しかける。
「え? 法学部?」
「そうです」
僕の勢いに押されたその男は、
「えっと、向こうやけど」
と戸惑いながら指差した。

 

『そのバイクで連れて行ってくれたらいいのに』
そう思ったが、交渉している時間さえ惜しかった。

「ありがとう」
それだけ言って、示された方へ向かった。

 

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時、既に遅し!!

上り坂が終わろうとする頃、それは訪れた。

 

タイムアップ。
試験時間の開始。

完全なる敗北。

 

神戸大学法学部の入試は英語で始まる。
80分の試験時間では全て解答できないほどの分量だ。
1分でも遅れたら、即終了。

 

僕の得意科目は国語。
苦手は数学。
そこで点数が相殺される。
だから、英語が勝負だったんだ。

 

でも、それももう終わった。
「諦めたらそこで試合終了ですよ」
安西先生の言葉を思い浮かべた。

 

先生、試合時間は終わりました。ここからの逆転はありえません

 

僕はふらふらとした足取りで、近くのアパートらしき建物の敷地内に足を踏み入れた。
道で崩れ落ちている無様な姿を見られたくない。
わずかなプライドがそうさせたのだろう。
今、思えば完全に不法侵入だ。申し訳ない。

 

壁にもたれ、座り込んだ。
折り畳んで引き寄せた膝に額をつけ、腕で頭を抱え込んだ。

 

過去一年間の記憶が甦る。
別れた彼女の顔が脳裏に浮かぶ。
毎日12時間以上、勉強したことを思い出した。
その他にも知人・友人の顔が次々と閉じたまぶたの裏に浮かんでは消える。

 

走馬灯とは、人が死ぬ瞬間に過去を一気に思い出すことを言うらしい。
大げさではなく、僕はそのとき死ぬのかと思った。

 

どれくらいそうしていただろう。

ふと立ち上がり、僕は元来た道を引き返した。

冬の青空がいつも以上に鮮やかだった。

 

阪大を受けに行った友達と、一緒の新幹線で帰ろうと約束したことを思い出した。
それまでどうやって時間を潰そうか。

 

 

そのことだけを考えていた。

 

約束してくれ

受験生のみんな、約束してくれ。
受験会場の下見は必ずするんだ。

 

昔と違って、今はGoogle マップがある。
ストリートビューも見られる。

 

でも、道中や会場内で何が起こるかわからない。
朝は余裕を持って、出発してくれ。
万全を期すんだ。
努力を無駄にしないように。

 

受験できなければ、可能性はゼロだ。

 

正直なところ僕は、まともに受験しても受からなかったと思う。
センター試験で8割とれず、C判定だったからだ。
確か、合格確率は40%だった。

 

神戸大学法学部はセンターと二次の比率がほぼ同じ。
だから、一発逆転は難しい。

 

それでも、僕はたまに思う。
もし、奇跡的に受かってたら、と。

それにしても、不思議なんだ。

僕は意図的にサボったことを除き(それはそれでどうかと思うが)、学生時代に遅刻をしたことがない。
それは大学生、社会人になっても変わらない。アルバイトも含めて、だ。

 

あのときだけだ。あんな遅刻をしたのは。
まったく受験の悪魔に魅入られたとしか言いようがない。

 

こんなことがあるんだ。
くどいようだが、受験生のみんな、細心の注意を払って万全を期すんだ。

 

早すぎるくらい早めに出ても、遅刻するよりはマシだ。
寒いだろうから防寒だけはしっかりしていってくれ。
皆さんの健闘を祈っています。

 

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オマケ

僕は実に17年ぶりにGoogle マップで六甲駅から神戸大学までの道のりを見た。

 

僕が工学部を出て、走った坂道。
あれは法学部への最短距離ではなかった。
あさっての方向へ走り出し、大きく遠回りをしていた…。

 

こんなことにならないように。(普通はならない)

受験生の皆さんの健闘を祈っています。

 

だが、惨劇はこれで終わらないっ。

まだ続きが!

大学受験で、試験を受ける以前に終わっていた話(受験失敗談②)【前編】

 

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