新卒で入った会社が割とブラックだった話⑪~終焉、そして決別 前篇~
目次
新卒で入った会社が割とブラックだった話⑪~終焉、そして決別 前篇~
以下、この話はフィクションだと思って読んでください。
フィクションに決まっています。大事なことなので二回言いました。
前回までの記事はコチラ
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話①
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話②~奇々怪々? 人事異動、移動~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話③~意味ない駆け引き~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話④~呼び出しをくらう僕~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑤~キレる僕~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑥~派閥の話、前篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑦~派閥の話、後篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑧~労働組合の存在 前篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑨~労働組合の存在 後篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑩~社長の思い出~
実は二ヶ月間の出来事
これまでほとんど東京の本社(本店)での勤務実態について書いてきたけど、実はこれらは全て約二ヶ月の間に起こったことだ。
しかも、実は書いていないことも沢山あって、これ以上に大変な目に遭っている。
(色んな意味で、ヤバくて書けないこともチラホラ)
書けることと言えば、
俳優の高橋克典さんが店に来たこととか(めちゃくちゃいい人だった)、
先輩がハマっていた上海ラウンジに無理矢理連れて行かれたこととか、
危うくキャバクラのお姉さんにハマりそうになったこととか、だ。
(後ろ二つはヒドイ話だ)
今思えば、東京に住んでいた二ヶ月は、当時の自分史上で最も密度が濃い期間だったように思える。(色んな意味で)
嫌なこともあったけど、僕はそれなりに楽しんでいた。
そんなこんなで東京という街に慣れ始めた僕だったが、突然大阪に戻る日を迎えることとなる。
再三再四、異動、移動
三月上旬、僕は〇〇館の二階に戻ってきていた。(最初に配属されたところ、部長の管轄店舗)
個人的には、その隣にあった『革工房』で同い年のフロアリーダー、Kさんと一緒に働いている方が楽しかったが、こればかりは会社名物の異動だから仕方ない。
革工房で働いている方が良かったという理由は、Kさんの存在だけではなかった。
販売点数は少なくても、メインの商品がサドルバッグだから単価が高く、売り上げが立ちやすかったのだ。
〇〇館に戻ってから、僕は再び売り上げを伸ばそうと腐心することになる。
とはいえ、仕事それ自体は嫌いではなかったので、自分でも驚くくらい真面目に働いていた。
さらば、東京
寒気が弱まり、日差しが暖かくなり始めたある日、朝礼から戻ってきたT課長にこう告げられた。
「杉、おまえ、大阪に異動になった」
「は? マジっすか」
「ああ」
T課長が頷いた。
僕は東京へ移住するくらいの気持ちで来ていたので、この言葉に驚いた。
何となくこのままずっと東京にいるような気がしていたのだ。
大阪店から研修で来て、三年帰れなかった人の話を聞かされていたということもある。
(ちなみにその人は、三年働いた挙句、こちらで知り合った女性と結婚し、本店に転籍していた)
しかし、考えてみれば研修という名目で東京にいるので、いずれ大阪に戻ることになるのは当然といえば当然だ。
とはいえ、一つ気になったのは、「最低三か月の目安で」と言われたような気がするのに、まだ二ケ月しか経っていないことだ。
そこを訊ねたら、T課長が渋い顔で答えた。
「最近大阪店の二階フロアが売り上げ悪いらしくてな。社長がキレまくって、『Kを東京で修行させる』とか言い始めてさ」
Kとは、僕が大阪店に入店したときの二階のフロアリーダーだった人だ。
「なるほど」
「で、おまえと入れ替わりでKが東京に来るって寸法よ。だから、おまえは今から寮に帰って荷造りしろ」
「わかりました。お世話になりました」
僕はT課長に頭を下げた。
「おう。俺もまた大阪に行くかもしれねぇからよ。そんときはよろしくな」
「はい」
それだけ言って、僕はもう一度、T課長に頭を下げ、寮に戻った。
(なぜかそのとき部長は一階にいなかったから挨拶していない)
その日のうちに大阪店へ
東京~大阪の店舗間は、朝に通達が来たら夕方には異動完了しないといけないという不文律があった。
夜に通達が来たら、次の日の出勤は異動先という具合だ。
これもよくよく考えたらおかしな話で、家があって家族がいる人はいきなり(というか即日)旦那や父親が単身赴任になるわけだ。
大抵は一年もしないうちに帰って来ることになるんだけど、社長の気分次第では前述した人のように研修で来て三年間東京にいる、なんてこともあり得る。
しかし、この会社ではそれが当たり前のように受け入れられていた。
頻繁に異動させられるせいで、みんな感覚が狂っていたのだと思う。
その日の夕方、僕は大阪店に出勤した。
僕を面接をしてくれたN主任が店長に復帰していた。
「恥ずかしながら戻って参りました」
ふざけて敬礼してみせると、N主任はいつもの柔和な笑顔で応じてくれた。
僕は二階フロアに配属となった。
初めて東京へ行ったとき、上野駅の改札で出迎えてくれたH係長がフロアリーダーを務めていた。
要するに、元いた場所に戻って来ただけなんだけど、何となく新鮮な気がしていた。
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正式に社員となる
僕は大阪店に戻って間もなくして正社員となった。
僕自身はバイト感覚で入ったし、正社員にしてくれと頼んだわけでもなかったけど、どうやら既定路線だったようだ。
研修も終わったから、ようやく一人前ということだったんだろう。
社員になったからと言って何が変わるわけでもない…、と思っていたけど、変わり始めていた。
その変化が、僕を退職に追い込むこととなる。
【続く】
次回、最終回
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑫【完】~終焉、そして決別 後篇~
前回までの記事はコチラ
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話①
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話②~奇々怪々? 人事異動、移動~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話③~意味ない駆け引き~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話④~呼び出しをくらう僕~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑤~キレる僕~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑥~派閥の話、前篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑦~派閥の話、後篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑧~労働組合の存在 前篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑨~労働組合の存在 後篇~
⇒新卒で入った会社が割とブラックだった話⑩~社長の思い出~
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