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新卒で入った会社が割とブラックだった話③~意味ない駆け引き~

新卒で入った会社が割とブラックだった話③~意味ない駆け引き~

黒いリス
By: Marco

 

以下、この話はフィクションだと思って読んでください。

フィクションに決まっています。大事なことなので二回言いました。

前回、前々回はコチラ
新卒で入った会社が割とブラックだった話①
新卒で入った会社が割とブラックだった話②~奇々怪々? 人事異動、移動~

最初の配属はある店舗の二階

朝礼の後、僕はT課長に連れられて、ある店舗の二階に配属されることになった。

T課長がフロアリーダーで、僕はそのリーダーの下で働くという形だ。

 

その会社は本店のすぐ近くにいくつも店を持っていて、それぞれが独立して売り上げを立てなければならないという構図になっていた。

売っている商品に大差はないのに、だ。

より正確に言うと、フロアごとの売り上げが毎日、昼と夕方に一回ずつ社長に伝えられ(これを社員は『報告』と呼んでいた)、売り上げが悪いフロアのリーダーはすぐに呼び出されるというお決まりの流れができていた。

 

そうするとどうなるかというと、フロアリーダーは売れてもいないのに、社長が一応納得するギリギリのラインの売り上げを報告することになる。

社長から説教、否、罵倒されたくないからだ。

しかも、他のフロアの動向を窺って互いに牽制し合ったり、協調し合ったりと傍から見ると実にバカバカしいことをやる羽目になる。

その駆け引きに意味などない!!

東京に来て二日目。

 

僕はT課長からこういう指令を受けた。

「杉、一階の数字見て来い」
お客さんがいないときにT課長が言った。

「え? 売り上げっすか? どうやって見るんすか」

「部長がレジんとこに立ってるだろ?」

「はい」

僕は階段の上がり口に移動し、そこから見える一階レジの辺りに目をやった。

レジカウンター内でヘルメットを磨いている部長の手元が見えていた。

「レジカウンターの客から見えにくいところに小さい紙を貼ってんだよ」

「ああ、売り上げ表すか」
大阪店でもそれをつけていたから知っていた。

「そう、それを見て来い」

「了解」
そう返事をして僕は、階段の中ほどまで下りて行って、売上表を見ようと首を伸ばす。

と、そういうときに限って下からお客さんが上がってきて、大慌てで二階に戻ることになるんだけど。

 

T課長の意味のないブラフ

舌を出す赤ちゃん
By: Dhinal Chheda

部長とT課長はあまり仲が良くないので、僕の見ている限り『報告』のときに協調することは少なかった。

別の店舗では『報告』前になったら、互いに示し合わせて『然るべき』数字を本店に伝えていた。

 

それでもたまに、『報告』の時間前、T課長は自ら一階に降りていくときがあった。

そういうときは決まって売れ行きが良いときだ。

 

「あ、部長。6時の報告どうします?」

「なんだよ、T。売れてんのかよ?」
部長が警戒したような笑みを浮かべる。長い付き合いだけに、その辺は心得ているらしい。

「俺、150で報告しようと思うんすよね~」

T課長がもったいぶった様子で言う。

 

150とは15万円のことだ。

二階はバイクウェアやグローブ、ブーツを売っているが、平日午後6時の時点で15万円になることはほとんどない。

「バカ言うんじゃねぇよ。嘘だろ? もし本当だとしても明日のこともあるんだぞ」

部長が少し慌てた感じで言う。
部長がいる一階はヘルメットを扱っているが、単価の高いものはあまり売れないので、やはり午後6時の時点で15万円ということは少ない。

「え? 部長はいくらで報告するんですか」
T課長はとぼけた様子で訊く。

「大体、いつも通りだよ」

「ああ、100ですか」

「まあ、そんなとこだ」

と、部長が口ごもりながら言う。

「了解っす。じゃあ、こっちも100で報告します」
と、T課長がにやけながら言って、二階に戻って来る。

 

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そのやりとりの意味

これらのやりとりにどんな意味が隠されているかと言うと、こうだ。

 

部長はその店舗の責任者だから、一階と二階を合わせた売り上げの責任を負わなければならない。

でも、部長は一階のフロアリーダーでもあるから、二階より売上が低いと問題になりかねない。

なぜなら二階のフロアリーダーはT課長で、自分より役職が下(勤続年数も下)だからだ。

役職が上の者は『常に』下の者より多く売れて当たり前という社長の考えがあるせいで、そういうことになる。

更に言うと、部長の「明日のこともあるんだぞ」という発言は、『今日多く売り上げても明日売り上げが少ない可能性があるんだから、その金をとっておけ』という意味だ。

つまり、ある一定のラインを越えたら、それ以上は売り上げの少ない日のためにストックしておけということだ。

 

そして、T課長は部長が以上のような反応をすることをわかっていて、わざと言っている。

T課長自身も初めから150で報告する気なんかない。

おふざけの好きなT課長はこれと同じことを別のフロアに内線電話をかけてまでやることもあった。

僕自身、書いていてバカらしくなる解説なんだけど、当時のあの会社ではこういうことが当たり前のように行われていた。

もしかしたら今でもこれに近いことをやっている店があるかもしれないけど。

 

追記
POSレジ導入すれば売り上げなんて一目瞭然じゃんって話なんですが、そういう話があっても社員たちが頑なに拒んだようです。

理由はお察しの通り、正確な数字が社長に伝わると大変なことになるからです。

十年以上前の話ですから、まだPOSレジを導入していないところもありましたよね。

今、複数店舗ある会社で、そんなところはないでしょうけど。いや、まだあるのかな?

 

【続きはコチラ】
新卒で入った会社が割とブラックだった話④~呼び出しをくらう僕~

 

前回、前々回はコチラ
新卒で入った会社が割とブラックだった話①
新卒で入った会社が割とブラックだった話②~奇々怪々? 人事異動、移動~

 

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