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大学受験で、試験を受ける以前に終わっていた話(受験失敗談②)【後編】

頭を抱える男性
By: jseliger2

こちらは【前編】からの続きになります。

まずはコチラをご覧ください。

そして惨劇は繰り返される

「おい、す、杉。ばばば、場所」

K君がどもりながら言った。

 

「え?」
「いや、だから場所は…。おい、I。正門は? ここ、正門か」

僕にはK君が何を言っているのかわからなかった。

後から聞くと、そこが正門だったら案内の立て看板くらいはあるだろうという意味だったらしい。

 

「俺、事務室に行って聞いてきてやるよ」
I君が慌てた様子で走り出した。

 

「マジか…」
K君が絶句した。

 

僕はというと、妙に落ち着いていた。
むしろ醒めていた。

自分の愚かさに。とんでもない愚かさに呆れていたのかもしれない。

 

箱崎キャンパスへ

「おい。試験は箱崎やって」
I君が駆け寄ってきながら大声で言った。

箱崎というのは箱崎キャンパスのことだ。
六本松からは電車で移動すると乗り換え込みで40分ほどかかる。

 

僕は咄嗟に腕時計を見た。
試験開始まであと40分弱。

 

「やばいな」
K君がつぶやいた。
「いや、マジで」
僕は答えた。

 

「タクシー。タクシーで行けば間に合う」
I君が早口で言った。
「呼ぼう。タクシー。電話、探さんと」
続けて言い、I君が走り出そうとした。

 

「いや、おまえ。電話持っとるし」
僕はとっさにツッコんだ。
驚くほど冷静だった。

 

当時、僕はポケットベルしか持っていなかった。
でも、大学生のI君はPHSを持っていたのだ。
そして、それを右手に握りしめていた。

 

「ああ、そうか」
I君が立ち止まって、PHSを操作し始めた。

「タクシー、来たぞ」
K君の声に振り返る。

K君が両手を上げて、タクシーを停めてくれた。

 

六本松キャンパス前は交通量が多い。
呼ばなくてもタクシーはしょっちゅう見かける。
二人ともそれを忘れていた。

 

「助かるよ」
僕は言った。
「いいから早く行け」
I君が少し怒ったような表情で言った。
「がんばれよ」
K君が笑顔で言った。

頷き、僕はタクシーに乗り込んだ。

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ダッシュで試験会場へ!!

タクシー
By: Dave Newman

道は混んでいた。
それでも試験開始前に箱崎キャンパス前へ着いた。

 

金を払ってタクシーを飛び出す。
こんなときでもお釣りをしっかりもらう。
そう、僕は庶民派だ。

 

案内の立て看板に簡易の地図があった。
それを確認し、走り出す。

 

試験開始まであと2分。
僕は間に合った。

 

試験会場は大きな階段教室だった。
受験生だけでざっと百人はいた。

駆け込んだ僕に、大勢の視線が集まった。

でも、今はそんなの気にしている余裕はなかった。

 

「受験票を」
目を丸くしながら言った試験官に受験票を見せる。

 

入り口の近くに高校の同級生がいた。
目が合う。
彼は苦笑していた。

僕は照れ笑い(多分引きつっていた)を返した。

試験官に誘導され、割り当てられた席に着く。

 

すぐに試験時間開始。
英語の論文を読んで、設問に答える形式だった。

 

息切れし、焦っている僕の目には英語がただの記号に見えた…。

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約束だ

これを読んでいる受験生、もしくは親御さんでもいい。

試験会場は必ず確認するんだ。

僕みたいに思い込みで行動してはいけない。(そんなバカがいないことをマジで祈ってます)

 

それにしても不思議だ。
僕はこれまで生きてきて、「天然ボケだね」なんて言われたことがない。

そんな僕が、大事な大学受験で誰も追随を許さないようなボケをかます。

何があるかわからないのが、本番ということだ。

受験生のみんなはこんなことにならないよう万全を期してくれ。

 

 

僕の受験はどうなったかというと、予想にたがわず落ちていた。
当然だ。
実力不足の上に、慌てふためいて設問に取りかかったんだから。

 

オマケ

 箱崎キャンパスから戻った僕を友人二人が飯に誘ってくれた。

 

店への途次、I君が突然、笑い始めた。

「なんや、急に笑って」
僕は言った。
「いや、これ」
I君がPHSを差し出してきた。
「留守電。聞いてみ」
そう言われ、僕はボタンを押してPHSを耳に当てた。

 

『あの~、Tです。受験日間違えたみたい、俺。また来年頑張ります。一応、報告。じゃあ』
T君の間延びした声が聞こえてきた。

笑い話じゃないのだが、僕は吹き出してしまった。

 

T君は高校時代の同級生で、僕と同じく浪人していた。

九大を受ける予定で、そのことをI君には言っていたらしい。
僕は予備校が別だったので、そのことを知らなかった。
だから余計におかしかった。

 

「あいつ、アホか」
僕は笑いながら言った。
「おまえも変わらんって。間に合ったからいいけど」
K君が横からツッコんだ。
「まあね」
僕は空を振り仰いだ。
夕焼けがきれいだった。

(その後、T君は二浪して九大に受かりました。良かった)

 

受験失敗談①はコチラです。

受験生のみんなに約束してほしいことがある。聞いてくれ。(受験失敗談①)【前編】

こちらもよろしければご覧ください。

受験浪人をすることのメリット、デメリットとかなんとか【なんとかの部分長め】

 

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